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7月8日に新型インフルエンザ対策コンソーシアムが主催した『新型インフルエンザ対策セミナー -「多層防御」で守る企業の事業継続―』に参加したので、内容をレポートします。

今回のセミナー全体を通して特に強調されていたポイントは、「新型インフルエンザは、健康問題のみには収まらない。農業や経済問題にまで波及する危機管理の問題として捉えるべきである」ということです。企業や組織のBCMにおいても、こうしたパンデミックは無視できない問題と言えます。

新型インフルエンザの脅威は、全世界的な問題としてテレビ番組などでも取り上げられているので、多くの方がご存知のことと思います。しかし、そもそも「新型インフルエンザ」とは何を指すのか、といった基礎的な情報については、実は正確に知られていないのが現状です。

新型インフルエンザとは?

まず、「新型インフルエンザ」とは何を指すのでしょうか?
そもそも、インフルエンザには3つの種類があります。

1. 「季節のインフルエンザ」
2. 「鳥インフルエンザ」
3. 「新型インフルエンザ」

まず、1は日本でも毎年冬になると流行するインフルエンザです。毎年異なった型が流行するという特徴があるため、毎年異なるワクチンが必要になります。流行が予想される時には事前に、予防接種を受けられる方も多いでしょう。

2は、文字通り鳥の間で流行するインフルエンザウィルスです。このうち、強い毒性を持ったH5N1型鳥インフルエンザウィルスが、鳥をはじめとした動物の間で現在大流行しています。

3の「新型インフルエンザ」は、鳥インフルエンザウィルスが突然変異してヒトのインフルエンザウィルスになったものを指します。過去にも、アジア風邪(1957年)や香港風邪(1968年)など、鳥インフルエンザウィルスが変異して新型インフルエンザウィルスとなり、猛威を振るった例があります。

高まる新型インフルエンザの脅威

近年では「新型インフルエンザ」、つまり人間の間で大流行する恐れがある新種のインフルエンザの発生は確認されていません。ただし、現在動物の間で大流行中の「鳥インフルエンザ」であるH5N1型が、偶発的に人間に感染し死亡にいたるケースがアジアを中心にすでに230件以上(2008年3月現在)確認されています。このような人間への偶発的感染を経るうちに、ウィルスの遺伝子型はどんどんと変化していきます。つまり、いつ新型インフルエンザが出現するか、誰にも予測できないのです。

WHO(世界保健機関)では、新型インフルエンザの脅威の深刻さについて世界に周知するための指標として、「パンデミックインフルエンザ警報フェーズ」を用いています。フェーズは下記6段階から構成されます。

1. ヒト感染のリスクは低い
2. ヒト感染のリスクはより高い
3. ヒト-ヒト感染は無いか、または極めて限定されている
4. ヒト-ヒト感染が増加していることの証拠がある
5. かなりの数のヒト-ヒト感染があることの証拠がある
6. 効率よく持続したヒト-ヒト感染が確立

現在のパンデミックインフルエンザ警報フェーズは、3とされています。しかし、これがいつ4に引き上げられるかは、分かりません。また、感染症例の報告があがってこない限り、実際にはフェーズ4に相当するような事象が起こっていても私たちはそれを把握することができない、という問題も指摘されています。

各国政府の新型インフルエンザ対策

このような現状に対し、アメリカではインフルエンザを国家安全保障の問題として、対策に乗り出しています。例えば、アメリカ政府はプレパンデミック・ワクチンを、全国民3億人分備蓄しています。

これに対し、日本では、プレパンデミック・ワクチンの備蓄が今年中にやっと3,000万人分完了する予定です。数の限られたワクチンを誰に優先的に接種するのかなど、今後突っ込んだ議論が求められるでしょう。

企業の新型インフルエンザ対策

企業が取り組むべきインフルエンザ対策については、講演内容をご紹介することはできませんが、講演の中で触れられた参考ガイドライン、およびWebサイトについて、以下にご紹介します。

<ガイドライン>

・ 厚生労働省「事業者・職場における新型インフルエンザ対策ガイドライン
・ 内閣官房「新型インフルエンザ発生時等における対処要領
・ 内閣官房「新型インフルエンザ発生初期の水際対策について
・ 経済産業省「新型インフルエンザ対策に関する行動計画
・ WHO「グローバルインフルエンザ予防プラン」(英文)
・ USA安全保障省(DHS)「重要インフラおよび主要リソースのための事前対策、対応、復旧ガイドライン
・ UK内閣官房・保健省「新型インフルエンザガイドライン」(英文)
・ ニュージーランド政府「インフルエンザパンデミックガイド 事業継続計画の指針
・ 海外勤務健康管理センター(JOHAC)「海外派遣企業での新型インフルエンザ対策ガイド
・ 国際製薬事業者連盟「国際的な製薬産業における事業継続計画

<Webサイト>
PandemicFlu.gov


【おわりに・・・】

企業の事業継続について考えるとき、「新型インフルエンザ」や「パンデミック」というキーワードを頻繁に耳にするようになりました。大企業の中には、すでに社員向けにマスクや消毒薬の備蓄などを完了しているところも多数あります。このような流れを反映してか、今回のイベントにも多数の参加者があり、メディアの取材も入っていました。

地震や台風による水害などと比べ「新型インフルエンザ」は、日々の企業活動の中でその脅威を差し迫った問題として捉えにくいテーマです。にも関わらず、多くの関心が集まっていることは、日本における事業継続の取組みが前進していることを示しているといえるでしょう。

今回のイベントを通して強く感じたことは、一口に「BCM」や「事業継続」と言っても、その脅威の種類によって、企業に求められる取組みの内容は大きく異なってくるということです。「新型インフルエンザ対策」の場合には、従業員やその家族に対して、「新型インフルエンザ」という脅威に備えるための基礎情報を提供すること、すなわち「知識のワクチン」を提供することが、企業の果たすべき役割として特に重要になります。「新型インフルエンザによる被害をいかに最小化できるか」は、まさに企業の肩にかかっているのです。それらの土台となる取組みなしには、企業の事業継続を実現することは困難です。

BCM構築支援のコンサルティングサービスを提供する企業として、効果的な分析手法や災害対策のあり方を日々研究している当社ですが、「事業継続」というテーマが持つ意義の大きさ・重さについて、認識を新たにさせられたイベントとなりました。

2008/07/14 (Mon) セミナー情報 Trackback(0) Comment(0)
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